著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム - thinkcopyright.org


もっと話そう、著作権のこと

延長がくり返されるとき、社会は、文化はどうなる? 一度延ばせば戻せない。

新着情報

2013/9/17
・富田倫生さんの追悼シンポジウム「青空文庫の夢:著作権と文化の未来」と「本の未来基金」創設のお知らせです。
2013/8/12
・内閣官房TPP政府対策本部に「TPP交渉参加に関する意見」を提出しました。
2013/6/17
・6月29日(土)19:00~21:00、TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム(thinkTPPIP)緊急公開シンポジウム『日本はTPPをどう交渉すべきか 〜「死後70年」「非親告罪化」は文化を豊かに、経済を強靭にするのか?』を開催します。
2012/12/10
・12月12日(水)18:00~20:30、TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム(thinkTPPIP)キックオフ・公開シンポジウム「TPPの交渉透明化と、日本の知財・情報政策へのインパクトを問う!」を開催します。
2012/04/17
・4月30日(祝)15:00~17:00、GW特別シンポ+ニコニコ動画生放送『どうする?ニッポン二次創作文化と著作権とTPP』を放送します。
2011/11/06
・クリエイティブコモンズジャパン・コンテンツ学会・MIAU・thinkC × ニコニコ動画 共同プレゼンツ連続シンポジウム『TPPはネットと著作権をどう変えようとしているのか!?徹底検証〜保護期間延長・非親告罪化・法定賠償金〜』)を開催します。第1回は11月7日(月)、第2回は11月11日(金)です。
2010/02/09
・著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム(thinkC)として、内閣の次期「知財推進計画」策定に向けて、次のようなパブリックコメントを提出しました。

「わが国の著作権の保護期間を現在より20年延長すべきか否かの問題については、延長によるさまざまな悪影響を危惧する声も少なくない。保護期間は一度延ばせば短縮は現実に難しく、そのため将来の世代にまで影響が永続する可能性がある。当フォーラムではかねてより、多様なセクターの関係者から意見を聞き、かつ、延長がされた場合の影響について実証的検討を尽くすべきである旨、提言してきた。
 2007年度文化審議会内に設置された「過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会」でのヒアリングでも、延長に対する危惧や懸念は延長を求める意見を大きく上回り、同小委員会は2009年1月、「延長問題をめぐっては、著作権制度全体について更に議論を深める必要がある」との報告を公表した。他方で、保護期間延長のデメリットを示す検証事例も、複数報告されている。
 こうした事情やインターネット後の世界の実情を踏まえ、真の創造振興・流通促進とは何かについて、速やかに世界に向けて日本の意見を発信すべきである。」

パブコメは、広く国民各層から募られていて、メールなどでどなたでも提出することができます。体裁も、特に難しいものではありません。皆さんも、延長問題その他の知財政策について、率直な意見、素朴な思いを書かれてみてはいかがでしょうか。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/ikenbosyu/ 締切:2月15日(17時必着)
2009/11/20
・鳩山首相、川端文科相の発言を受け、「では、何のための3年間だったのですか」を掲載しました。
2009/04/22
・著作権制度の根本的なあり方を議論する新しい小委員会「基本問題小委員会」が開催されました。議題の中には著作権保護期間の問題も含まれており、今後もフォーラムでは小委員会での議論を注視していきます。
2009/01/26
・著作権分科会の報告書(→PDF)が公開されています。
2008/11/09
・関堂幸輔さん(大阪工業大学知的財産学部専任講師)がフォーラムの趣旨をご理解の上、発起人に加わってくださることになりました(現在110名)。
2008/11/03
・2008年10月30日に開催された総括シンポジウムにおいて発表された保護期間延長問題と創作・流通促進に関する共同提言と、提言者一覧を公開しました。なお、提言案に関する補足資料などは参考記事のページからご覧いただけます。
2008/10/14
・文化審議会による保護期間問題に関する「中間整理」とthink Cによる提言を総括するシンポジウムの開催が決定しました。think C にとって、大きな節目のシンポジウムです。保護期間の延長問題とは何だったのか。著作権のあるべき姿はどこにあるのか。延長問題を論じ続けた2年間で、我々はどれだけ前に進むことができたのか話し合います。詳細・参加申し込みはトークイベント概要のページをご覧ください。
2008/9/9
・think C内のプロジェクトチームによる「保護期間延長問題と創作・流通支援策に関するthink C-PT 提言案」が完成いたしました。当ウェブサイト上にて公表し、フォーラム内外の皆さまの意見をお伺いすることになりました。まだ議論途上のものですが、ご高覧いただき皆さまのご意見をお聞かせいただければ幸いです。
2008/7/23
・野口祐子さん(弁護士、クリエイティブ・コモンズ・ジャパン専務理事)、宮台真司さん(首都大学東京教授、社会学者)、武田徹さん(評論家、ジャーナリスト)、坪田知己さん(慶應義塾大学大学院政策メディア研究科特別研究教授)がフォーラムの趣旨をご理解の上、発起人に加わってくださることになりました(現在109名)。
2008/4/12
・公開トークの第6回の予約受付は、臨時増設分を含めて満員に達したため、終了いたしました。ありがとうございました。当日はフォーラムの公開シンポジウムのページより、ネット中継でご覧になれる予定です。
2008/3/18
・公開トークの第6回開催が決定しました。各界を代表する論客が、今の著作権制度に不足や不満を感ずる点は何か、ざっくばらんに話し合います。詳細・参加申し込みはトークイベント概要のページをご覧ください。
2008/1/7
事務局についてのページ一周年記念パーティーのページにリンク用のバナーを掲載しました。ブログなどでリンクする際など、ご自由にお使いください。
2007/12/17
・2008年1月31日(木)にthink C 活動報告 兼 一周年パーティを開催することになりました。通常のトークイベントと同じように一般の方もご参加できます。関係者スピーチも多数予定。お知り合いも誘って、ふるってご参加ください。
2007/11/5
・安念潤司さん(成蹊大学法務研究科(ロースクール)教授)、柳原敏夫さん(法律家(弁護士))がフォーラムの趣旨をご理解の上、発起人に加わってくださることになりました(現在105名)。
2007/9/18
・公開トークイベント vol.4のストリーミング動画配信を開始しました。こちらのページから動画を視聴することができます。
・公開トークイベントvol.4のアンケート結果を掲載しました。
・第5回公開トークの開催が決定しました。今回は総勢12名の論客が、堂々4時間30分のシンポジウムで経済学の視点から著作権の徹底分析と制度設計に挑みます。詳細・参加申し込みはトークイベント概要のページをご覧ください。
2007/8/21
・一戸信哉さん(敬和学園大学人文学部国際文化学科准教授)、小沼純一さん(早稲田大学教授、音楽/文芸批評家)がフォーラムの趣旨をご理解の上、発起人に加わってくださることになりました(現在103名)。
2007/8/6
・公開トークの第4回開催が決定しました。著作権の現在を語る上で最重要の論客達が、あるべき「グローバル化」と日本の進路を論じます。詳細・参加申し込みはトークイベント概要のページをご覧ください。
・9月19日(水)18:00〜21:00の日程で、早稲田大学21世紀COE総合研究所知的財産法制研究センターが、ジョージア大学のジョン・ヒールド教授を報告者として招へいし、著作権保護期間の実証研究に関する特別セミナーを開催いたします。本フォーラム発起人の金正勲准教授、今村哲也さんもコメンテータ、司会として参加されます。詳細はこちらのリンクでご確認ください。
2007/7/20
・6月15日の公開トークイベントvol.3の映像配信についてですが、正式にオンデマンド配信も行わないことが決定いたしました。イベントの内容についてはCNET Japanの記事や、ITmediaの記事をご参照ください。
・高嶺格さん(美術作家)、浜野智さん(音楽評論家・編集者)、門坂流さん(画家)、鈴木朋幸さん(プロデューサー、トモ・スズキ・ジャパン社長)、今村哲也さん(明治大学情報コミュニケーション学部専任講師)がフォーラムの趣旨をご理解の上、発起人に加わってくださることになりました(現在101名)
・文化審議会小委員会での関係者ヒアリングの議事録全文がアップされました。第2回議事録はこちら。第3回議事録はこちらになります。
・公開トークイベントvol.3のアンケート結果を掲載しました。
2007/6/15
・諸般の事情により、本日のトークイベントのライブ中継は見合わせていただくことになりました。後日トークイベントの動画をオンデマンド形式で視聴できるよう調整して参ります。
2007/5/29
・6月15日(金)に行われるトークイベントvol.3「コミケ、2ちゃんねる、はてなセリフと作家と著作権」の詳細を公開しました。参加申し込みの受付も開始しています。
・公開トークイベントvol.2のアンケート結果を掲載しました。
・think Cメールマガジンvol.9を発行しました。
・「過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会」での関係者ヒアリング(4/27と5/16)が終了しました。フォーラムの独自集計では、著作権の延長問題に絞るならば32名の参考人のうち、権利者団体の7名が延長を要望。15名が反対若しくは懸念を表明、10名が保留・不明・その他の意見(隣接権の延長だけを求めた2名含む)という内容でした。
2007/4/25
・みうらゆうさん(『エンドユーザーの見た著作権』管理人)がフォーラムの趣旨をご理解の上、発起人に加わってくださることになりました(現在96名)
2007/4/23
・公開トークvol.2の動画ストリーミングにおいて、三遊亭圓窓氏の発言の一部を削除いたしました。削除に至る経緯についてはシンポジウムのページに掲載しております。
・第1回公開トークのアンケート結果を掲載しました。
2007/4/14
・公開トークイベント vol.2が無事終了しました。パネリストの方々、ご来場の皆様に感謝いたします。
・トークイベントのストリーミング動画配信を開始しました。こちらのページから動画を視聴することができます。
2007/4/10
・think Cメールマガジンvol.6を発行しました。
・文化審議会内の「過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会」での議論が、3/30(金)からスタートしました。議題は「過去の著作物等の利用の円滑化方策」「アーカイブへの著作物等の収集・保存と利用の円滑化方策」「保護期間のあり方」「意思表示システム」の4つが挙げられています。
・前回公開トークを踏まえたネットアンケートの結果が「Copy & Copyright Diary」上 で発表されました。フォーラムによるアンケート結果もまもなく公開します。
・杉井ギサブローさん(アニメーション映画監督、京都精華大学教授)、玉井克哉さん(東京大学先端科学技術研究センター教授(知的財産法)、鈴木雄一さん(東京理科大学 総合研究機構教授)、野村香久さん(ことのは出版代表取締役)がフォーラムの趣旨をご理解の上、発起人に加わってくださることになりました(現在95名)。
・政府の「知的財産推進計画2006」の見直しについてフォーラムとして以下の意見を提出しました。「わが国の著作権の保護期間を現在より20年延長すべきか否かの問題については、延長によるさまざまな悪影響を危惧する声も少なくない。保護期間は一度延ばせば短縮は現実に難しく、そのため将来の世代にまで影響が永続する可能性がある。よって、拙速な結論を避け、多様なセクターの関係者から広く意見を聞き、かつ、延長がされた場合の文化的・経済的影響について実証的なデータや予測に基づいて慎重に議論するべきである。」
2007/4/4
・かねてから当ウェブサイト上にて「創造のサイクルの事例」を集めていますが、フォーラム発起人でもあり、延長の経済効果を分析している田中さん、太下さんのほうから「これらを整理して資料としてまとめたい」との申し出がありました。資料をより充実させるため、何か思い当たる「創造のサイクル(古い作品を下敷きに新しい作品が生まれた例)」がある方はぜひ創造のサイクル掲示板の方に情報をお寄せください。
2007/3/24
・古川享さん(慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構教授)、末廣恒夫さん(「複写と著作権メーリングリスト」主宰)、鈴木謙介さん(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター研究員)、山田奨治さん(国際日本文化研究センター助教授)、ドミニク・チェンさん(クリエイティブ・コモンズ・ジャパン理事、日本学術振興会外国人特別研究員[東京大学])、生貝直人さん(クリエイティブ・コモンズ・ジャパン事務局員、慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構RA)がフォーラムの趣旨をご理解の上、発起人に加わってくださることになりました(現在91名)
2007/3/13
・公開トークイベント vol.1が無事終了しました。パネリストの方々、ご来場の皆様に感謝いたします。
・トークイベントのストリーミング動画配信を開始しました。こちらのページから観ることができます。
2007/3/10
・坂本龍一さん(音楽家)がフォーラムの趣旨をご理解の上、発起人に加わってくださることになりました(現在85名)。
・3月12日のトークイベントのライブ中継の方法をフォーラムの公開シンポジウムページに掲載しました。
2007/3/7
・3月12日(月)に開催される公開トークイベント「なぜ、いま期間延長なのか − 作品が広まるしくみを問う」の参加受付が定員に達したため、申し込みを締め切らせていただきました。
・4月12日(月)に開催される公開トークイベント「『知の創造と共有』からみた著作権保護期間延長問題」の詳細を公開しました。参加申し込みの受付も開始しました。
2007/2/11
・3月12日(月)に開催される公開トークイベント「なぜ、いま期間延長なのか − 作品が広まるしくみを問う」の詳細を公開しました。参加申し込みの受付も開始しました。
・名和小太郎さん(著述家)がフォーラムの趣旨をご理解の上、発起人に加わってくださることになりました(現在84名)。
・著作権保護期間延長問題に関連する情報や、このフォーラムの今後の動きやシンポジウムなどの告知などの情報をまとめたメールマガジンの発行を開始しました。「メールマガジン」のページより購読申し込みが可能です。
2007/2/5
・より開かれた議論を行うため、「著作権保護期間の延長問題を考える国民会議」という名前を「著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム」(略称は「think C」)に改称しました。
・一部環境でシンポジウムの動画が複数同時に再生されるという問題が報告されていましたが、動画をポップアップ形式で観られるよう仕様を変更しました。
2007/1/22
・発起人の富田倫生さんが呼びかけ人を務める青空文庫のサイト上で、著作権保護期間の延長を行わないよう求める請願署名が始まっています。延長反対を求めるプロモーションビデオも公開されているので、賛成派慎重派問わずご覧いただければと思います。
・発起人の山形浩生さんが日経ビジネスオンラインに2007年を斬る: 著作権延長論に物申す 驕るな、クリエーター! 著作権保護は「創作から5年」で十分という記事を寄稿されました。「参考記事・保護期間延長問題に関する各種情報」からもリンクをしています。
・発起人の小寺信良さんがITmediaに米国の前例に見る著作権法延長の是非という記事を寄稿されました。同じく発起人の城所岩生さんにインタビューを行っています。「参考記事・保護期間延長問題に関する各種情報」からもリンクをしています。
・「参考記事・保護期間延長問題に関する各種情報」に白田秀彰さん(法政大学社会学部助教授)が書かれた「ほんとうの知的財産戦略について」を転載しました。
2007/1/18
・「参考記事・保護期間延長問題に関する各種情報」に白田秀彰さん(法政大学社会学部助教授)が書かれた「ほんとうの創作者利益について」を転載しました。
2007/1/11
・「参考記事・保護期間延長問題に関する各種情報」に日本弁護士連合会が12月末に文化庁に提出した意見書を転載しました。
・太下義之さん(三菱UFJリサーチ&コンサルティング芸術・文化政策センター主任研究員/センター長)が国民会議の趣旨をご理解の上、発起人に加わってくださることになりました(現在83名)。

富田倫生さんの追悼シンポジウム「青空文庫の夢:著作権と文化の未来」と「本の未来基金」創設のお知らせ(2013/9/17)

去る2013年8月16日、「青空文庫」呼びかけ人の富田倫生さんが亡くなられました。
日本を代表するテキスト・アーカイブである青空文庫に長年携わり、著作権保護期間延長問題についても積極的に意見を表明してきた富田さんの活動を振り返るべく、下記シンポジウムが開催されます。

富田さんには、2013年6月29日の当フォーラムにもご登壇頂きました。
シンポジウム終了後には富田さんのお別れ会が催されますので、是非ご参加ください。

URL:http://www.voyager.co.jp/aozora/

*併せて、上記イベントの運営と青空文庫の活動等を将来にわたって支援する「本の未来基金」が創設されます。
URL:http://www.voyager.co.jp/aozora/#bokin

富田倫生追悼イベント

日程:2013年9月25日(水)
場所:東京會舘 ローズルーム

■ 第一部:記念シンポジウム「青空文庫の夢:著作権と文化の未来」

日時:15:00開場、15:30〜17:30(120分)
*定員200名
*事前予約申込制・参加費無料

冒頭報告
基調スピーチ(以下、順不同・敬称略。またタイトルは全て仮)
  1)電子図書館の挑戦 長尾 真(前 国立国会図書館長・元 京都大学総長)
  2)青空文庫の歩みと成果 萩野正昭(ボイジャー代表取締役)
  3)保護期間延長問題とは何か 福井健策(弁護士・日本大学芸術学部客員教授)
パネルディスカッション/アピール発表
  大久保ゆう(青空文庫)
  長尾 真(前 国立国会図書館長・元 京都大学総長)
  津田大介(司会、ジャーナリスト)
  萩野正昭(ボイジャー代表取締役)
  平田オリザ(劇作家・演出家)
  福井健策(弁護士・日本大学芸術学部客員教授)

■ 第二部:お別れ会「ありがとう富田さん」

日時:17:30開場、18:00〜20:00(120分)
*申込不要・参加費:5,000円(お支払いは当日受付にてお願いします)

献花・献杯
関係者スピーチ
富田さん映像・写真上映 ほか

主催:富田倫生追悼イベント実行委員会 共同代表 富田晶子、八巻美恵(青空文庫)
共催:青空文庫
        株式会社ボイジャー
        一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)
        クリエイティブ・コモンズ・ジャパン(特定非営利活動法人コモンスフィア)
        thinkC
協賛:志ある国内外の各企業・団体(追って発表)

内閣官房TPP政府対策本部に「TPP交渉参加に関する意見」を提出しました(2013/8/12)

thinkC(著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム)は、内閣官房TPP政府対策本部に「TPP交渉参加に関する意見」を提出しました。

【1】

・該当する交渉分野

知的財産

・意見

著作権の保護期間を「著作者の死後70年」等に延長する規定を盛り込まないよう、交渉すべきである。理由は以下の通り。

第一に、不必要な延長は研究・教育・福祉・文化・アーカイブなど様々な分野での過去の作品の活用をいっそう困難にし、貴重な過去の資料の死蔵化・忘却化を招く恐れが強い。延長がそうでなくても困難な古い作品の権利処理をいっそう困難にし、世界的な大問題となっている権利者不明の「孤児著作物」を激増させたことは、当の米国の著作権局長すら去る3月20日の議会証言で訴えている。

第二に、同様の理由で、延長の連鎖は過去の作品に基づく新たな創作という、我が国文化の得意とする表現分野を委縮・停滞させる恐れが強い。

第三に、これらの大幅延長は古いコンテンツの輸出で稼ぐ米国に有利であって、新しいコンテンツに強みを持つ日本にとって、輸出増にも何ら寄与しない。むしろ米国への著作権使用料を激増させ、直近の1年間で年6100億円(日銀調べ)にも及ぶ巨額の使用料の対外赤字を固定・拡大させる恐れは強い。

第四に、そもそも圧倒的多数の著作物の市場的生命は短命で、こうした延長はほとんどの作品にとって遺族・権利継承者の収入増すらもたらさないことは、既に内外の研究から明らかである。

なお、米国などは「保護期間を統一することがコンテンツの流通促進に役立つ」と主張する可能性があるが、根拠は薄い。米国では1977年以前の作品の保護期間は、原則として発行時起算であって日本やEUのように著者の死亡時起算ではない(同著作権法302条以下)。その結果、日本や他のTPP加盟国が死後70年に保護期間を延長したところで、期間は米国との間で不統一なままである。(日米で統一の効果が表れるとすればずっと先であり、米国が保護期間のルールを改めない限り50年間以上不統一の状態が続く。)逆にいえば、現時点で既に日・米・欧すべての間で保護期間は不統一であるが、それによってコンテンツの流通が問題になるほど害されたという例は寡聞にして聞かない。

以上の利害は米国以外の他のTPP交渉国でも共通しているので、米国との二国間条約などで既に期間延長を受け入れた国を除いて、保護期間をめぐる米国と他国の対立は激しいと報じられる。日本は他国と連携し、この問題を交渉対象から落とすことが、TPPを各国にとって受け入れやすい内容に近づける道と考える。

【2】

・該当する交渉分野

知的財産

・意見

TPP知財分野の交渉には、「保護期間の大幅延長」「非親告罪化」その他、日本にとって重大な制度改変につながる規定が多数盛り込まれているとされる。これらは図書館・アーカイブ・福祉・教育・文化など多様なセクターに重大な影響を及ぼし得るが、こうしたステークホルダーは現在必ずしも十分公平に政府説明会への出席の機会や意見表明の機会を与えられていない。政府の真剣な交渉姿勢への共感・理解を育み、交渉のための多数の貴重な知見を得るためにも、適正な団体を選択し十分な機会を保障されたい。

同様に、交渉に悪影響を及ぼさない範囲での情報開示は十分可能と考えるので、今後も一般ユーザーを含めた十分な情報開示、意見を述べる機会の確保をはかられたい。

また、あまりに多くの知財条項を条約上の義務として受けいれてしまえば、今後、ビジネス情勢や国民の多数意見が変わっても、国会ですらそのルールは変更できない点で影響は大きい。それでは変化が早く柔軟性が生命線と言える昨今の情報・メディア産業において、かえって日本の競争力を削ぐ危険もある。このような視点からも、慎重な検討と交渉を求めたい。

(以上)

think C 再始動 「では、何のための3年間だったのですか」(2009/11/20)

鳩山首相がJASRAC記念式典の挨拶で、「保護期間の70年延長に最大限努力する」と発言しました。首相発言は、居並ぶ国際的な著作権団体のトップ、与野党議員ほか各界代表者を前におこなわれ、川端文科相も20日の閣僚後会見で延長に意欲を示しました。

米国が保護期間延長を外交要求する中、国内の権利者団体が、現在「著作者の生前プラス死後50年間」である保護期間を、さらに20年延長するよう求めたのが2006年。その前後にはクリエイター・研究者などからなる当フォーラムが発足して、慎重な検討を求めたほか、日弁連・青空文庫など、さまざまな関係者が延長に反対の声をあげました。

2007年には文化審議会の中に「過去の著作物の保護と利用に関する小委員会」(保護利用小委)が発足しましたが、延長への賛否で意見は大きく割れ、30人もの各界関係者へのヒアリングでも延長への懸念が続出しました。

延長を求める権利者団体はその理由として:

・欧米が死後70年である以上、それは世界標準である
・死後70年への延長は創作者の意欲を高める
・国際的に期間を調和させないと、作品の国際流通が害されるおそれがある
・作品の利用許諾が難しくなる点は、大多数の作品を網羅する権利情報データベースの構築で解決できる


などの点を挙げました。

これに対して私たちは:

・更に20年延ばしても、経済的に受益するのはごく一部の作品だけではないか
・むしろ、古い作品の権利処理には過大な負担を要し、死蔵作品が増えるのではないか
・延長は欧米の一部権利者を利するのみではないか
・古い作品に基づく、無数の新たな創作の泉を枯らすのではないか


などの問いかけをおこなって来ました。

2009年、保護利用小委では、「著作権法制全体として保護と利用のバランスの調和のとれた結論が得られるよう、検討を続ける」として、延長を事実上見送る報告を著作権分科会に提出しました。

そして、著作権法制全体のあり方を話し合うために、さる4月、基本問題小委員会が立ち上がり、議論がはじまった矢先での今回の発言です。

基本問題小委員会がまだ中間報告すらおこなっていない段階で、酒宴の挨拶で、「欧米並みにすべきだから」という理由で発表される70年延長とは何なのでしょうか。それは、立場は違えどその信ずるところをお互いにぶつけあって来たこの3年間の議論をどうくみとり、生かしたものだというのでしょうか。

今後、基本問題小委員会などの場で、著作権法のどのような未来像が示されるのか、網羅的な権利情報データベースが現実に構築され、権利処理の問題がどう解消されるのか、実際に見さだめたうえで、はじめて保護期間の延長は議論の俎上(そじょう)にのぼるべきものです。

そして、その是非を決めるのはひとり首相や文科相ではありません。このことは、華美を尽くした式典の檀上に議員や団体の長が何人あがろうが、変わりません。 それを決めるのは、皆さんです。そしてこの決定を見つめるのは、明日の時代を生きる私たちの子供たち・孫たちです。

情報と社会の未来のためにどのような決定をくだすのか。私たちには、彼らへの責任があります。

think Cは、今回の一連の発言のゆくえを注視し、今後、必要なすべてのアクションをとっていきます。皆さんの支援が、頼りです。どうぞこの問題をひとりでも多くの方に伝えてください。なお、本声明は転載自由です。

追記:本日、一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)が、著作権の保護期間延長に反対する声明を発表しました

活動の主旨(2006/11/8)

去る9月22日、社団法人日本文藝家協会、日本漫画家協会、日本音楽著作権協会(JASRAC)などの権利者団体16団体が、著作権の保護期間延長を求める要望書を文化庁に提出しました。これは、現在「著作者の生前全期間 プラス 死後50年間」である著作権の保護期間を、さらに20年間延長することなどを求めるものです。

このうち著作権については、欧米諸国は1990年代に相次いで保護期間を一律20年延長いたしました。アメリカは日本にも保護期間を延ばすよう、要求しています。「欧米では過去も何度か、戦前の古い作品の著作権が切れそうになると延長がくり返された。今後も保護期間は延び続けるのでは」と指摘する声もあります。

しかし、著作権の保護期間については、前述のように延長を求める要望がある反面、延長によるさまざまな悪影響を危惧する声も少なくありません。(→延長賛成・反対の理由を読む
→保護期間延長問題に関する議論を掲示板で行う

複雑化する著作権処理、著作権侵害をめぐる論争、保護期間切れと新訳ブーム、通信放送の融合……。いま、著作権には社会の注目が集まり、その言葉が各種メディアに登場しない日は珍しいほどです。表現活動や文化産業に決定的な影響を与える存在となった著作権。その中でも、保護期間の延長こそ、私たちの文化と「知財立国」のゆくえを決める大問題といえます。

保護は一度延長されると、既得権の関係で短縮はきわめて難しい性質のものです。過去、一度延長された期間が短縮された例はほとんどありません。それだけに今こそ、多様な立場の人々が、この大問題についてもっと意見を交わすことが必要ではないでしょうか。単に権利者団体と利用者団体の問題に矮小化してしまったり、国民的議論を尽くさないままに延長が決まるとすれば、それは大変残念なことです。

延長問題については、多様なセクターの関係者に広く議論を呼びかけて意見を聞き、かつ、延長がされた場合の文化的・経済的影響について実証的なデータや予測に基づいて慎重に議論することが必要です。

フォーラムの活動について

文化庁などに要望書を提出

11月8日(水)に「著作権保護期間の延長問題を考える国民会議」発足の記者発表を行い、記者発表後に代表者が文化庁著作権課などを訪れ、上記趣旨の要望書を提出しました。

※記者会見の模様を音声ファイルで聴くことができます。下記プレーヤーの再生ボタン(Pickle Playerと書かれたブロックのすぐ右側にある三角のボタン)をクリックすると再生が始まります。

音声ファイル(MP3形式、128Kbps、58分36秒)をダウンロードしたい方はこちらのリンクを右クリック→「対象をファイルに保存」で保存することができます。


公開シンポジウム

こうした問題意識から、現役のクリエイター、アーチスト、事業者、図書館や電子アーカイブ、多分野の研究者、法律家など異なるジャンルを代表する発起人が集い(以下「発起人リスト」参照)、「著作権保護期間の延長問題を考える国民会議」を立ち上げて、12月11日(月)に第1回シンポジウムを開催いたしました。

※シンポジウムを各種メディアで取り上げていただきました。下記記事の見出しをクリックすると、記事本文を読むことができます。

当会議は、今後も継続的にシンポジウムを行い、延長賛成・反対両説からのパネリストを招き、幅広い立場の人々が活発に意見を交換・発信することを目指します。


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