著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム - thinkcopyright.org


メールマガジン

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 著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム
 think C メールマガジン vol. 26
 http://thinkcopyright.org/

【審議会「中間整理」出る&10/30緊急総括シンポ告知、特大号】 2008.10.15

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■遂に文化審議会・保護利用小委が「中間整理」を公表

暑すぎず、寒すぎず、過ごしやすい季節になりました。皆さまお元気で
お過ごしでしょうか。

さて、ご存知のお方も多いでしょうが、文化審議会・保護利用小委員会
(thinkC発起人も5名、委員として参加)は、先日公表された「中間整理」
で、延長問題について賛否両論を併記したうえ 「著作権法制全体として、
保護と利用のバランスについて調和のとれた結論が得られるよう、検討を
続けることが適当」 と結論しました。

これを受けて朝日新聞が「著作権保護期間 延長見送りへ」と報道したほ
か(9月18日)、下記を含む多数のメディアで報道されました。

共同通信「著作権の期間延長先送り 文化審小委、合意得られず」(9月
18日)NHKニュース「著作権・保護期間延長 文化庁 結論は先送り」
(9月19日)

Internet Watch「著作権保護期間の延長問題は継続課題に、文化審の小委
員会が中間整理」
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/09/18/20898.html

47 News「著作権の期間延長先送り 文化審小委、合意得られず」
http://www.47news.jp/CN/200809/CN2008091801000936.html

日刊スポーツ「著作権保護期間延長は結論先送り」
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20080918-410086.html

Copy & Copyright Diary「保護期間延長、とりあえずは先送り」
http://d.hatena.ne.jp/copyright/20080918/p1

IT Media「著作権保護期間延長「十分な合意得られず」 パブリックコメ
ント募集へ」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0809/19/news077.html

IT Pro「文化審の2小委が中間まとめ公表、パブリックコメント募集開始」
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20081010/316646/

「中間整理」を延長見送りと呼ぶかは議論もあるでしょうが、「青空文
庫」富田倫生さんは下記のように総括されています。

「著作権保護期間延長問題の中間整理について」
http://attic.neophilia.co.jp/document/chukan_seiri.html

世話人の理解も同様で、両論を完全併記した上で「著作権法制全体につい
てさらなる検討が必要」と結論していることからも「2007年度中に一定の
結論を得る」とされた延長問題は、ひとつの区切りは迎えたと評価して良
いのでしょう。

朝日の報道などにもある通り、なかば既定路線とも見られていた期間延長
について草の根から大きな議論を起こせたのは、think C を支えてくださ
った皆さんのお力です。70年延長問題についてこれだけ突っ込んだ、今後
に発展する議論をできた国は日本が初めてではないでしょうか。この場を
借りて、心から感謝いたします。


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■注目!審議会では、パブコメ募集と「国民意識調査」を実施

ただし、文化庁では10月9日から11月10日まで中間整理へのパブリックコ
メントを募っています。また、あわせて11月上旬には「著作権に関する国
民意識調査」も実施するとのことです。パブコメを提出した個人には、「
意識調査」アンケートも送付されるそうです。

募集要項とパブコメの方法はこちら:
http://www.bunka.go.jp/oshirase_koubo_saiyou/2008/chosakubutsu_hogo_ikenboshu.html

中間整理の概要版と、中間整理本文はこちら:
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=185000344&OBJCD=&GROUP=
今回のパブコメと「国民意識調査」に、組織動員ではなく、正しく社会の
人々の意見が反映されるかどうか。延長問題の将来の帰趨にとっても、今
後の著作権の議論にとっても、決定的な局面といえるでしょう。

皆さん、草の根の議論の総決算として、ぜひパブコメをお寄せください。
誰でも、どんな意見でもメール・郵送・FAXいずれでも送ることができま
す(方法は上記)。
「中間整理」全体についてお送りいただいても結構ですし、たとえば保護
期間延長への賛否だけのコメントでも大丈夫です(その場合には項目名と
して「第4章(2)保護期間の在り方について」と明記することになるでし
ょう)。

「青空文庫」でも下記の通り呼びかけをはじめています。周囲の関心のあ
る方々にも、どうぞパブコメ募集をお知らせください。
http://www.aozora.gr.jp/shomei/


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■「中間整理」とthink C-PT 提言をめぐり、10月30日、緊急総括シンポ
開催!

既報のとおり、think C では延長問題の決着をにらみ、末尾記載のプロ
ジェクトチームを発足させ、2008年9月に 「(1)保護期間は延長すべきで
はない、(2)日本版フェアユース規定を速やかに導入する、(3)作品の流通
・利用促進策を進める(公的報償システム、データベースの相互接続)、
(4)著作権だけに依存しない創作支援制度を創設・強化する」 ことを柱と
する提言案を公表しました
http://thinkcopyright.org/public_comment.html)。
提言案に、さまざまなご意見をお寄せいただき、ありがとうございました。
主なご意見は近く何らかの形でご紹介させて頂きます。そして、ご意見を
踏まえた最終版の提言を、フォーラム内外の有志による共同提言という形
で10月30日に公表いたします。先週末の時点で共同提言者は50名を超えま
した。

保護期間延長問題とあるべき創作・流通促進策の議論が大きな節目を迎え、
文化審議会「中間整理」がパブコメ募集中である今、think Cでは「共同
提言」の公表とあわせ、延長問題を総括すべく緊急シンポジウムを開催い
たします。

パネリストには、保護利用小委立ち上げ時の著作権課長であった、甲野正
道国立西洋美術館副館長や、保護利用小委で大きな役割を果たされた、中
山信弘東大名誉教授ほかを招き、think C 発起人も多数登壇予定です。

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●文化審議会「中間整理」とthink C 有志提言をめぐる緊急総括シンポジ
ウム

日時:10月30日(木) 18:00-20:30
場所:虎ノ門フォーラム(虎ノ門琴平タワー22階。銀座線虎ノ門駅2番出口
1分)
http://www.kotohiratower.com/area.html
入場無料・申込制

※終了後、自由参加の懇親会(4000円程度。学生・院生は割引)を予定

登壇予定者(敬称略/パネリスト・提言報告者を含む):

中山信弘 東京大学名誉教授

甲野正道 国立西洋美術館副館長 (前文化庁著作権課長)

生貝直人 慶應義塾大学DMC機構RA、クリエイティブ・コモンズ・ジャ
パン事務局

太下義之 三菱UFJリサーチ&コンサルティング芸術・文化政策センタ
ー長兼 主任研究員

津田大介 ジャーナリスト、think C 世話人

林紘一郎 情報セキュリティ大学院大学副学長

福井健策 弁護士/ニューヨーク州弁護士、think C 世話人

※ほか交渉中

主催:著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム
共催:コンテンツ政策研究会(http://contents-policy.net/
   慶應義塾大学DMC統合研究機構(http://www.dmc.keio.ac.jp/

申込はこちら→
http://thinkcopyright.org/registration/
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think C にとって、大きな節目のシンポジウムです。保護期間の延長問題
とは何だったのか。著作権のあるべき姿はどこにあるのか。延長問題を論
じ続けた2年間で我々はどれだけ前に進むことができたのか。終了後には恒
例の懇親会もおこないます。秋の夜長に楽しく語り明かしましょう。どうぞ
ふるってご参加ください。


<提言プロジェクトチームメンバー>(50音順)

太下義之:三菱UFJリサーチ&コンサルティング芸術・文化政策センタ
ー長(文化政策)

金正勲:慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構准教授
(デジタルコンテンツ産業論)

小林真理:東京大学大学院人文社会系研究科准教授(文化政策)

田村善之:北海道大学大学院法学研究科教授(知的財産権法)

津田大介:ジャーナリスト

林紘一郎:情報セキュリティ大学院大学副学長(法と経済学)

平田オリザ:劇作家、演出家、大阪大学教授

福井健策:弁護士、座長(芸術文化法)

横山久芳:学習院大学法学部准教授(著作権法)


(事務局)
生貝直人:クリエイティブ・コモンズ・ジャパン事務局スタッフ、慶應義
塾大学DMC統合研究機構RA

酒井麻千子:東京大学大学院情報学環・学際情報学府(構成担当)

作田知樹:Arts and Law 代表

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■文化審議会・保護利用小委、「中間整理」を了承

文化審議会・保護利用小委では9月18日、前述の「中間整理」を審議・了
承しました。「中間整理(案)」などの配布資料はこちら(議事録は未ア
ップ):
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/hogo/06/haihu.html

今後の開催告知・傍聴申込はこちらから:
http://www.bunka.go.jp/

過去の議事録などはこちら:
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/hogo/index.html


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■延長問題をめぐるその他の記事・イベント

「録音物の保護期間を95年に延長を提言へ」コピライト2008年10月号
※日本でいう著作隣接権に該当する権利の保護期間について、欧州委員会
(EC)が7月16日に延長勧告の方針を公表し(既報)、これに対して欧州
の15の大学の教授たちが連名で、「最新の研究成果を公然と無視するもの。
実演家を遇する道は保護期間の延長でなく生存中における処遇の改善であ
るべき」との抗議を公表した旨

Internet Watch「コンテンツ分野を総合的に取り扱う学会「コンテンツ学
会」設立」
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/10/11/21153.html

村上敬亮「コンテンツ学会 〜コンテンツ概念の功罪と未来」
http://japan.cnet.com/blog/murakami/2008/10/11/entry_27016992/
ほか
※中村伊知哉氏・玉井克哉氏が副会長、前述の金正勲が事務局長に選任さ
れたほか、think C 発起人も多数参加。

「著作権保護期間の延長についての議論」福井健策編、前田哲男・谷口元
著「音楽ビジネスの著作権」(社団法人著作権情報センター)38頁以下

産経新聞「【明解要解】著作権保護期間の延長」2008.10.8
http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/081008/acd0810080830007-n1.htm

Histroll「著作権保護期間の延長問題」
http://ja.histroll.com/UHC/AC-020080918173840-HSTRL-000000000000003-6C

(終了)情報ネットワーク法学会・著作権研究会 10月6日(月) 於国立
情報学研究所 田中辰雄慶応大学准教授、絹川真哉駒澤大学講師「著作権保
護期間延長の経済分析」


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■延長問題とは?

日本では著作権の期間は「著作者の生前プラス死後50年間」が原則です。

期間中は権利者の許可がなければ作品は利用できず、期間が終われば誰でも
ほぼ自由に使えます。特にとりきめがない場合、著作者の死後50年間は、
相続人全員の許可がなければ作品は使えません。

アメリカや国内の権利者団体17団体は、日本が期間をさらに20年延長するこ
とを求め、政府は2007年度中に結論を出すとしています。現在、この問題は
文化庁・文化審議会内の「過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会」
で討議されています。

「著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム」では延長問題について、
多様な意見や実証的なデータにもとづく慎重な議論を呼びかけています。

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〒107-0062 東京都港区南青山5-18-5 1F
TEL:03-5766-8980 FAX:03-5466-1107
(担当篠原)

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