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著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム
think C メールマガジン vol. 25
http://thinkcopyright.org/
【提言案公表&パブコメ募集の、「仲秋の大宴会」直前号】 2008.9.9
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■お待たせしました!提言案公表&「仲秋の大宴会」は9月10日(水)
もはや、どう時候の挨拶をしたら良いかわからない天気ですが、皆さまお元気で
お過ごしでしょうか。
文化審議会での議論も大詰めの今、予告どおり「保護期間延長問題と創作・流通
支援策に関するthink C-PT提言案」、公表です(詳細は下記)。まだ議論途上
のベータ版ですが、フォーラム内外の皆さんのご意見をいただき、10月中には
確定した提言を発表してシンポジウムを行う予定です。
そして、懇親会「仲秋の大宴会」がはや明日に迫りました!「提言案」公表直後
ということで、無論そのご報告もさせて頂きますが、内容は限りなく純然たる宴
会です。掘りゴタツ・飲み放題で、台風が生まれるあたり、南洋の味覚を肴に和
気あいあいと酌み交わしたいと思います。ふるってご参加ください。
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●think C 提言案公表記念「仲秋の大宴会」
日時:9月10日(水) 午後7時から
場所:アジアンダイニング TOMPOOYA(東風家)
秋葉原駅前店
http://r.gnavi.co.jp/g493554/
JR秋葉原駅 昭和通り口 徒歩1分 ほか
03-5209-0800
会費:おひとり4200円程(学生・院生は1000円引き)を予定
申し込み:下記URLより参加申し込みをお願いします(先着50名様・同伴歓迎)
http://thinkcopyright.org/zansho/
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■文化審議会・保護利用小委では、遂に延長の経済効果を議論
文化審議会「過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会」(保護利用小委)
は8月8日に文部科学省にて開催され、これまでも必要性が指摘されていた「延
長の社会的メリット」を、3人の経済学者が論じました。
登壇したのは、田中辰雄(慶應義塾大学経済学部准教授)、絹川真哉(駒澤大学
グローバル・メディア・スタディズ学部講師)、中泉拓也(関東学院大学経済学
部准教授)の各氏で、実証データの分析や海外論文の紹介など、それぞれ異なる
視点から保護期間延長の経済的評価について意見を述べました(議事録は下記に
アップ予定)。 なお、発表者のうち2名は、次の欄でご紹介する書籍「著作権保
護期間」の共著者です。
次回は、8月27日(水)文部科学省東館16階にて、再び延長問題が議論される
予定です(申し訳ありません、傍聴締切済みです)。
今後の開催案内・傍聴申込はこちら:
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/index.htm#kaisai
過去の議事録などはこちらの17番:
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/index.htm#gijiroku
保護利用小委での昨年の議論のまとめはこちら:
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/010/07101103/005.htm
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■「保護期間延長問題と創作・流通支援策に関するthink C-PT提言案」&パブ
リック・コメント募集のお知らせ
現在、保護期間の延長問題は、文化審議会内の「保護利用小委」での審議が大詰
めを迎えています。thinkCでは、今後の延長問題の決着に向けての意見ととも
に、より実効的な創作・流通支援策は何か、あるべき姿を検討して来ました。
第6回公開トーク以後、別掲のメンバーによるプロジェクトチームを発足し、
4ヶ月にわたって議論を重ねて来ましたが、この程、「保護期間延長問題と創
作・流通支援策に関するthink C-PT提言案」を公表し、フォーラム内外の皆
さまの意見をお伺いすることになりました。まだ議論途上のものですが、ご高
覧いただき皆さまのご意見をお聞かせいただければ幸いです。
皆さまのコメントを参考に、プロジェクトチームで最終的な提言を確定し、賛同
者を募った上で公表する予定です。
提言案は、以下の4点を柱とします。
1.著作権保護期間の延長は、現時点ではなされるべきでない
2.日本版「フェアユース」規定の導入
3.非営利分野での「P C S(公的補償システム)」の導入と、権利情報データ
ベースの相互接続の促進
4.著作権のみに依存しない創作支援制度の創設・強化
→提言の詳細とパブリックコメントの募集ページはこちら:
http://thinkcopyright.org/public_comment.html
9月22日(月) 24時 パブリック・コメント締切
10月中 提言正式公表及びシンポジウム開催
※なお、詳細な説明と出典データなどを含む補足資料を追ってアップする予定です。
<提言本文>
「著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム」(think C)では、2006年
11月より、著作権保護期間延長問題および関連する著作権の問題について議論
を重ねてきた。その中間報告および今後の著作権議論の方向性を示すものとし
て、以下の4つの提言をおこなう。
1.著作権保護期間の延長は、現時点ではなされるべきでない。当フォーラムの
シンポジウムや文化審議会著作権分科会における議論によれば、保護期間を延長
することで生ずる創作支援効果やその他の社会的メリットは十分に確認できず、
むしろ作品の適時なパブリックドメイン化による創作促進効果が指摘された。他
方で、延長により発生し得る社会的デメリットへの危惧は解消されたとは到底言
えない状況である。本提言は、問題の多い保護期間の延長ではなく、著作権や文
化法制を通じて創作者や社会のためになすべきことは他にあると考え、具体的方
策の方向性を提案するものである。
2.公益目的での利用、偶然軽微な利用、権利者への経済的損害のわずかな二次
創作等、現行の個別規定で認められない利用でも、一定の条件で許諾を不要とす
る日本版「フェアユース」規定を速やかに導入する。導入と並行して、「フェア
ユース」規定や既存の権利制限規定により、特に教育・福祉等の公益目的で自由
利用された作品については、権利者に対して一定の公的補償を行うことも検討す
る。
3.また、許諾が必要な利用のうち、現行制度下において権利管理事業が進展し
にくいと思われる非営利目的の分野では、「P C S(公的補償システム)」を導
入する。これは、権利者が当システムに任意登録した作品については非営利目的
に限り誰でも自由に利用でき、その利用実績に応じて、権利者には一定の公的補
償を行うものである。
更に、あらゆる目的での著作物の流通・利用に関する民間主導の取り組みを促
すため、新規・既存の権利情報データベースの相互接続を促進する。権利情報デ
ータベースをネットワーク化することにより、著作物の利用可能性を広げるとと
もに、新たなビジネスモデルを生み出すことを期待する。
4.上述した著作権関連の施策のほかに、国内外の事例を参考に、使途(費目)
を定めない芸術支援交付金や優遇税制、再投資義務等のクリエイター自立支援
策、芸術家社会保険制度、公的なコンテンツ・アーカイブの整備等、著作権の
みに依存しない創作支援制度の創設や強化を検討する。
<提言の背景>
現在の日本において、安定した創作行為を支える社会的・経済的支援の仕組みは
十分ではなく、時に創作者・実演家・制作者は過酷な環境下での活動を強いられ
ている。また、技術の発達に伴う著作物の無断利用の拡大が現実として存在して
いることが、権利者による(保護期間延長論に代表されるような)著作権の拡大
・強化論へとつながっている。しかし問題はむしろ、著作物を適正な手順で利用
しやすくなるような仕組みや、利用により享受した利益が正当に創作者側に還元
されるような仕組みの未整備にある。
そのような仕組みがないまま著作権制度のみをこれ以上拡大・強化しても、創作
者の活動支援には十分でなく、さらには著作物の流通の可能性が狭まることによ
り、
そこで、創作者の活動をより実効的に支援し、作品の流通と多様な楽しみ方を促
進することで文化とビジネスの発展に資するため、以上の4つの施策を提言する。
※詳細説明を含む提言書全文と概要説明図は、上記リンク参照
<プロジェクトチームメンバー>(50音順。なお※は原案の主な執筆担当のみ示す)
太下義之:三菱UFJリサーチ&コンサルティング芸術・文化政策センター長
(文化政策) ※第3章流通促進
金正勲:慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構准教授(デジ
タルコンテンツ産業論)
小林真理:東京大学大学院人文社会系研究科准教授(文化政策) ※第4章創作支
援
田村善之:北海道大学大学院法学研究科教授(知的財産権法)
津田大介:IT・音楽ジャーナリスト
林紘一郎:情報セキュリティ大学院大学副学長(法と経済学)
平田オリザ:劇作家、演出家、大阪大学教授
福井健策:弁護士、座長(芸術文化法) ※第1章延長問題・第2章権利制限
横山久芳:学習院大学法学部准教授(著作権法)
(事務局)
生貝直人:クリエイティブ・コモンズ・ジャパン事務局スタッフ、慶應義塾大学
デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構RA ※第3章流通促進
酒井麻千子:東京大学大学院情報学環・学際情報学府※第2章権利制限・構成
作田知樹:Arts and Law 代表※第4章創作支援
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■文化審議会・保護利用小委、次回は9月18日に「中間整理(案)」を審議
文化審議会「過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会」(保護利用小委)
は8月27日に文部科学省にて開催され、以下の各氏が保護期間の在り方につい
て多様な角度論じました。
朝妻一郎:社団法人音楽出版社協会 会長
久保雅一:株式会社小学館キャラクター事業センター センター長
境真良:早稲田大学大学院国際情報通信研究科 客員准教授
川上量生:株式会社ドワンゴ 代表取締役会長
太田勝造:東京大学法学部教授
当日の配布資料はこちら(議事録は未アップ):
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/hogo/05/haihu.html
次回は、9月18日(木)旧文部省庁舎6階にて、いよいよ「中間整理(案)」が
審議される予定です(傍聴締切は9月12日(金)17時)。審議は誰でも傍聴で
きます。
傍聴申込はこちら:
http://www.bunka.go.jp/oshirase_kaigi/2008/chosaku_kako_080918.html
過去の議事録などはこちらの17番:
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/index.htm#gijiroku
保護利用小委での昨年の議論のまとめはこちら:
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/010/07101103/005.htm
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■延長問題とは?
日本では著作権の期間は「著作者の生前プラス死後50年間」が原則です。
期間中は権利者の許可がなければ作品は利用できず、期間が終われば誰でも
ほぼ自由に使えます。特にとりきめがない場合、著作者の死後50年間は、
相続人全員の許可がなければ作品は使えません。
アメリカや国内の権利者団体17団体は、日本が期間をさらに20年延長するこ
とを求め、政府は2007年度中に結論を出すとしています。現在、この問題は
文化庁・文化審議会内の「過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会」
で討議されています。
「著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム」では延長問題について、
多様な意見や実証的なデータにもとづく慎重な議論を呼びかけています。
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