著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム - thinkcopyright.org


メールマガジン

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

 著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム
 think C メールマガジン vol. 29
 http://thinkcopyright.org/

【JASRAC70周年だから70年延長とは盲点だった!の緊急29号】 2009.11.20

┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛


約1年間のご無沙汰でした。文化審議会の議論を注視しつつ、基本的にはおだやかな生活を送っていたthink Cです。保護期間延長の理由はもう出つくしたと思っていたら「JASRAC70周年だから70年延長」という理由が残っていたとは。
座布団1枚。

という訳で、ここからは真剣な、緊急メルマガです。

■11月18日、JASRAC70周年記念式典で鳩山首相が「保護期間延長に最大限努力」と発言

「著作権保護期間70年への延長実現に最大限努力」鳩山首相が明言
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20091118_329858.html

著作権で与野党共闘を=森氏はつれない返事−鳩山首相
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009111800997

鳩山首相「著作権保護期間70年へ延長に努力」
http://www.j-cast.com/2009/11/19054262.html

「70年も首相続ける?」森氏が皮肉交じりに共闘“拒否”
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091118/plc0911182253026-n1.htm

JASRAC設立70周年 祝賀会開かれる
http://news24.jp/articles/2009/11/18/07148091.html

文科相、著作権保護期間70年への延長に意欲
http://www.asahi.com/politics/update/1120/TKY200911200230.html

保護期間70年に延長を=著作権法改正に意欲−川端文科相
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_date1&k=2009112000273


■フォーラムでは急きょ、この一連の動きを受けて下記声明をHPに掲載しました

http://thinkcopyright.org/

『では、何のための3年間だったのですか』 2009/11/20

鳩山首相がJASRAC記念式典の挨拶で、「保護期間の70年延長に最大限努力する」と発言しました。首相発言は、居並ぶ国際的な著作権団体のトップ、与野党議員ほか各界代表者を前におこなわれ、川端文科相も20日の閣僚後会見で延長に意欲を示しました。

米国が保護期間延長を外交要求する中、国内の権利者団体が、現在「著作者の生前プラス死後50年間」である保護期間を、さらに20年延長するよう求めたのが2006年。

その前後にはクリエイター・研究者などからなる当フォーラムが発足して(http://thinkcopyright.org/list.html)、慎重な検討を求めたほか日弁連・青空文庫など、さまざまな関係者が延長に反対の声をあげました。

2007年には文化審議会の中に「過去の著作物の保護と利用に関する小委員会」(保護利用小委)が発足しましたが、延長への賛否で意見は大きく割れ、30人もの各界関係者へのヒアリングでも延長への懸念が続出しました。


延長を求める権利者団体はその理由として:
・欧米が死後70年である以上、それは世界標準である
・死後70年への延長は創作者の意欲を高める
・国際的に期間を調和させないと、作品の国際流通が害されるおそれがある
・作品の利用許諾が難しくなる点は、大多数の作品を網羅する権利情報データベースの構築で解決できる
などの点を挙げました。


2009年、保護利用小委では、「著作権法制全体として保護と利用のバランスの調和のとれた結論が得られるよう、検討を続ける」として、延長を事実上見送る報告を著作権分科会に提出しました。

そして、著作権法制全体のあり方を話し合うために、さる4月、基本問題小委員会が立ち上がり、議論がはじまった矢先での今回の発言です。
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/kihon/index.html

基本問題小委員会がまだ中間報告すらおこなっていない段階で、酒宴の挨拶で「欧米並みにすべきだから」という理由で発表される70年延長とは何なのでしょうか。それは、立場は違えどその信ずるところをお互いにぶつけあって来たこの3年間の議論をどうくみとり、生かしたものだというのでしょうか。

今後、基本問題小委員会などの場で、著作権法のどのような未来像が示されるのか、網羅的な権利情報データベースが現実に構築され、権利処理の問題がどう解消されるのか、実際に見さだめたうえで、はじめて保護期間の延長は議論の俎上(そじょう)にのぼるべきものです。

そして、その是非を決めるのはひとり首相や文科相ではありません。このことは、華美を尽くした式典の檀上に議員や団体の長が何人あがろうが、変わりません。

それを決めるのは、皆さんです。そしてこの決定を見つめるのは、明日の時代を生きる私たちの子供たち・孫たちです。

情報と社会の未来のためにどのような決定をくだすのか。私たちには、彼らへの責任があります。


<think Cは、今回の一連の発言のゆくえを注視し、今後、必要なすべてのアクションをとっていきます。皆さんの支援が、頼りです。どうぞこの問題をひとりでも多くの方に伝えてください。なお、本コメントは転載自由です。>

追記:本日、一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)が、著作権の保護期間延長に反対する声明を発表しました。
http://miau.jp/1258707600.phtml


■今回の発言に関連するネット上の発言

そらもよう「著作権保護期間50年を生かす」
http://www.aozora.gr.jp/soramoyou/soramoyouindex.html#000315

小倉秀夫「民主党への手紙」
http://benli.cocolog-nifty.com/benli/2009/11/post-24fc.html

著作権保護期間延長は「国民主導の政治」の結果なのか?―P2Pとかその辺のお話
http://d.hatena.ne.jp/heatwave_p2p/20091119/p1

保護期間延長再燃 ―Copy & Copyright Diary
http://d.hatena.ne.jp/copyright/20091118/p1

壊れる前に…「著作権をめぐる鳩山首相の残念な発言」
http://eunheui.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-b176.html

きょうも歩く「著作権の延長は著作権の利権化だ」
http://kurokawashigeru.air-nifty.com/blog/2009/11/1119-d5b6.html

佐々木譲の備忘録「どうせすぐ撤回される、か?」
http://sasakijo.exblog.jp/9272737/

赤尾晃一の知的排泄物処理場「八方美人もきわまれり」
http://www.akaokoichi.jp/index.php?ID=1628


+++++++++

今後、フォーラムからの情報が不要の方、また新規購読申し込み、配信メールアドレスの変更を希望される方は、お手数ですが下記より:
http://thinkcopyright.org/mailform/

============================================

著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム
http://thinkcopyright.org/ 【現在発起人111名】
E-mail: info@thinkcopyright.org (@を半角に)

〒107-0062 東京都港区南青山5-18-5 1F
TEL:03-5766-8980 FAX:03-5466-1107
(担当篠原)

============================================

« メールマガジンのトップに戻る

このページのトップへ